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横谷 明徳; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎; 牛込 剛史*; 鈴木 雅雄*; 漆原 あゆみ; 渡辺 立子
Proceedings of the 27th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, 8 Pages, 2008/12
イオンビームが誘発する突然変異誘発などの生物影響は、DNA上の数ナノメートル程度の局所に生じるクラスター損傷であることが指摘されている。われわれは、クラスター損傷の修復阻害を調べるため、高水和状態のプラスミドDNAにイオンビーム(LET=20-500keV/m)を照射し、生じた1本鎖切断(SSB)と2本鎖切断(DSB)を定量するとともに、照射試料に対して実際の損傷塩基除去修復酵素を反応させ、損傷塩基の除去活性の阻害の程度を調べた。さらに、クラスター部位で多重に生じたSSBを検出するためにDNAの変性を利用する新しいアッセイ法を開発し、TIARAから得られるHeイオンを照射したDNAについて調べた。その結果、SSB収率はほとんどビームの性質に依存しなかったのに対してDSBはビームのLETに複雑に依存し、さらに塩基除去修復酵素の活性はLETの増大とともに劇的に減少した。一方、多重SSBはほとんど生じていないことがわかった。これらの結果は、クラスター損傷部位にはDSBが生成する場合を除き、SSBは多重には生成せず、一つのSSBと複数の塩基損傷あるいは塩基損傷のみで構成されていることが示唆された。
小野田 忍; 平尾 敏雄; 大島 武
Proceedings of the 27th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, p.43 - 46, 2008/12
AVFサイクロトロンからの150MeV-Arビームにマイクロコリメータを用いて直径が約20mのビームを形成し、電極の直径が450mのダイオードに対して単一イオン誘起電流の測定を行い、その電流強度をマッピングすることができた。一方、集束型マイクロビームによる実験では、AVFサイクロトロンからの260MeV-Ne及び520MeV-Arビームを磁気レンズで直径約1mに集束したマイクロビームを使用し、直径が200mのダイオードから得られる単一イオン誘起電流の測定を行い、その電流強度のマッピングに成功した。双方のイメージから、円状電極部分が重イオンに対して感受性が高いことがわかった。さらに、円状電極の周辺と中心部分で単一イオン誘起電流の強度が異なることが観察された。本研究開発により、マイクロメートルオーダーの位置分解能でイメージを測定することが可能となった。
佐藤 真一郎; 今泉 充*; 大島 武
Proceedings of the 27th Symposium on Materials Science and Engineering, Research Center of Ion Beam Technology Hosei University, p.37 - 42, 2008/12
宇宙用太陽電池の主流である三接合太陽電池の放射線劣化モデリングを構築し、その妥当性について検証した。陽子線あるいは電子線を照射して劣化した三接合太陽電池の量子効率をフィッティングし、このフィッティングより得られた物性パラメータを用いて、短絡電流及び開放電圧を計算して実験値と比較した。その結果、両者は非常に良い一致を示し、本モデリングの妥当性を証明できた。また、このモデルにおいては、ベース層キャリア濃度の減少の程度を示すキャリア枯渇係数、及び少数キャリア拡散長の減少の程度を示す損傷係数を放射線照射劣化の指標としたが、これらを非イオン化損失(NIEL: Non-Ionizing Energy Loss)によってスケーリングすると、系統的な相関性を持つことがわかった。これは、曝露される放射線ごとの各サブセルの劣化度(と)を見積もり、それらを用いて電気特性をシミュレートすれば、実宇宙空間における三接合太陽電池の寿命予測が可能であることを示唆している。